先日のお客様からの問い合わせです。
めぐりさん、今から空いてるかな?ホームセンターへ買い物に行きたいんだけど…
はい、今からなら30分後にお迎えできますよ、○○さん、一応確認なんですがホームセンターまでの往復料金(付き添い含む)は実費負担になりますが大丈夫ですか?
えっ!?いくらになるの??
そうですねぇ、往復で¥6000ほどになるかと。。
あー、それじゃあいいや、予約はキャンセルね、息子に電話してみるから
活字にしてみると何だか冷たいやり取りに感じられますが、この方とのお付き合いもかれこれ6年ほど。
3か月に一度、通院先のクリニックへ送迎する視覚障がい者の方です。
もちろん関係性は良好で、通院終了後には必ずと言っていいほどお客様の自宅でコーヒーを頂き、雑談を交わす関係性なのですが。
高齢者への介護タクシー利用前には丁寧な説明を何度もすべし
お客様は自治体予算の通院支援事業を利用する対象者なので料金負担は1割ですみます。
3か月に一度ご利用されるペースで、支払い料金も往復で¥500ほどとなれば、お客様の意識の中に
介護タクシー料金は往復で¥1,000以下
という認識が定着するのでしょう。
あらためて伝えておきますが、介護タクシー送迎や貸し切り観光料金は実費負担が基本です。
1年ほど前だったか、こんな出来事もありました。同じお客様とのエピソードです。
ご先祖様のお墓の掃除やメンテナンスを行えるものが誰もいなく(親戚・家族が遠方居住で関係性の問題とか)、近年定着している永代供養の仕組みを活用してお墓の問題から心を落ち着けたいという要望があり、セレモニー開始の時間に合わせて会場までの往復送迎をお願いしたいと介護タクシー予約を受けました。
その予約をいただく前に、お客様がいつも利用している通院支援事業の下記ルールをお伝えしました。
【どういった人がこのサービスを利用できるのか、利用できない人の条件とは?】
【なぜ、この低負担料金で利用できるのか】
【自宅~通院先クリニックのみの移送範囲で通院のみに限定されるサービスだ】
その時のお客様の反応は「そういうものなんだ」と納得されたように見えました。
ふつう、言っていることがわからなかったら
「??どういうこと?」
「つまり〇〇っていうことですか?」
と疑問をぬぐいさるように働きかけるじゃないですか。
お客様はそこから根掘り葉掘り聞きだすわけでも無かったし、私も聞かれてもいないことにクドクド説明をつけくわえることは相手にとって不快だろうと思っていたので、通院支援事業のお話はそこでストップしたんですね。
そういった背景から、お客様依頼のセレモニー会場までの往復送迎が実費負担になることは理解されたうえで介護タクシーの予約を依頼してきたものだと思ったんです。
送迎終了後、料金精算時に¥10,000であることを告げると驚いた表情で
「何でこんなに高いの?」
と憤りの感情をあらわにしながら問いただしてきたんですね。
この反応を見た時に、ああ、理解されていなかったんだなぁ伝わっていなかったんだなぁとガックリした思いでしたが、それはお客様も同じ心境だったでしょう(苦笑)
お客様にしてみれば、
なんで事前に説明しなかったの??
ということですよね。
移動距離やいままでの料金負担の経緯から、介護タクシー送迎はすべて¥1000前後でおさまるだろうと考えていたはずです。因みにこのお客様の自宅室内の清掃状況や話される言葉づかい・思考概念から、お金の勘定にはしっかりしている倹約家であることはうかがい知れていました。
そのトラブルから半年以上、介護タクシーの予約は入らなくなった。
支援事業すらも利用されなくなったのです。
ちゃんと事前に説明しないぼったくりタクシー乗務員というイメージがお客様の思考に刷り込まれてしまったのでしょうね。モヤモヤする思いを抱えながらも暑中見舞い・年賀はがきを送りつづけ、コンタクトは積み重ねました。
それからしばらくしてお客様の煮えくりかえった気分も落ち着いたのでしょう、再び介護タクシーの依頼を受けるまでに関係性が回復しました。
前振りが長くなりましたが、そのような経緯があったうえで、冒頭のお客様の問いかけがあったんですね。
ホームセンターまでの送迎をお願いしたいんだけど…
実費負担で¥6000になりますが、大丈夫ですか?
いいや、息子に相談してみるから。
やはり、伝わっていませんでした…(苦笑)
ほんの数百円さえ支払えば、介護タクシーがどんな外出にも利用できるという意識が、お客様から拭えていませんでした。
失礼を承知で言わせてもらえれば、お客様は高齢者(80才手前)であることから、一旦説明したことも忘れてしまう(覚えられない)加齢ならではの症状が大きく関係しています。
そしてもう一つは、介護保険介護タクシーや移動支援サービス活用の介護タクシーや貸し切り観光の介護タクシーの違いが一度や二度聞いただけでは理解できない、利用者にとって複雑な運行サービスであることも大きく関係してます。
サービス提供者たる私の伝え方(専門用語を使っていないか、要点をズバッと述べているか わかりやすく伝えようと心掛けているか)の問題もあるし、
利用目的が限られているかわりに低負担の介護タクシー
どんな外出目的にも対応できるが実費負担の介護タクシー
があることを伝え続けなければならないんですね。
高齢者とのコミュニケーションは特に注意を要するという体験でした。
まぁ、高齢者に限らずとも友人知人や仕事先の関係機関との連絡・報告などでお互いの意識が共有できていなくて「伝えたはず/言ったはず/理解したはず/伝わったはず」という思い込みからトラブルが発生することはよくある話ですよね。
「これ説明しましたよね??」
なんていう、とげのある言い回しにならないよう、はじめて利用される方へ説明するように工夫しながらも確認作業だけはしつこいくらいにやるべきですね。そうしないとお客様と事業者双方が疲れますし、信頼関係を損ねることにもなりかねません。
高齢者/障碍者には、伝わるように・伝わるまで、何度も丁寧な説明を心掛けたいものです。