介護/福祉タクシーという儲からない仕事に携わり続けるワケ

介護タクシ―経営
2020年7月リライト済の記事です

タクシー乗務員としていっさいの経験がなくても、一人1台から「福祉輸送限定」ビジネスの許可が得られる福祉タクシーは、一人1台で営業できる個人タクシーよりも参入障壁が圧倒的に低いです。

 

個人タクシーになるには法人タクシー乗務員として10年間 無事故無違反を成し遂げることが最低条件で、

すでに運行している先輩個人タクシーから「事業譲渡」というかたちでしか、ビジネス許可証(←あえての表現)を得られないのですから、個人タクシーになることのほうが相当ハードです。

 

参入障壁が低いということは「誰でも簡単にスタートできるサービス」とイコールなので、肩書を得るまでに相当の苦労とコストがともなう機長・土地家屋調査士・外科医師といった参入障壁の高いビジネスとはサービス単価が圧倒的に違いますよね。

 

しかし、

そんな参入障壁よりも、介護タクシーが儲からない(けられない)といわれる最大の理由は

  • お客様が限定されていること
  • 限定されたお客様のタクシー外出が日常でない
  • 流しができない 介助しなければならない

これらが絡み合うビジネスモデルゆえんの問題からなんですね。

 

1)介護タクシー乗客が限定されている理由

一般タクシーの乗客は

乗務員のサポートを必要とせず自分の意思と脚でタクシーへ乗降できる健常者と、なんらかのサポートがあれば乗降できる高齢者/障がい者です。

 

介護タクシーの乗客は

乗務員のサポートがなければタクシー乗降できない(に不安) 要支援/要介護の高齢者・障がい者です。

 

気づきましたか?

一般タクシーは健常者でも障がい者でも妊婦でも学生でも誰でも乗客対象です。

介護タクシーは外出ハンデをかかえる高齢者/障がい者限定です。

 

お金を頂けるお客様の対象人数がまず圧倒的に違うんですね。

 

めんどくさいですが一般タクシーの乗客対象者と介護タクシーの乗客対象者の人数を調べてみました。

 

一般タクシー乗客対象者 人数

引用元:総務省 平成29年統計データ第2章 都道府県年齢3区分別人口(Excelデータ)

↓ ↓ ↓

平成29年 15歳~75歳以上 

12,8596千人

 

介護タクシー乗客対象者 人数

引用元:総務省 平成29年都道府県 要支援/要介護認定者数(Excelデータ)

↓ ↓ ↓

平成29年 全国要支援/要介護者 

6292千人

 

引用元:内閣府 平成28年 全国年齢階層別 身体障がい者/児の推移(図表1.2)より

↓ ↓ ↓

全国 身体障がい者/児(在宅・施設) 

→ 436万人

 

15歳くらいからタクシーも乗るだろうという判断からはじき出した一般タクシー乗客対象者1億2859万人のなかに、

介護タクシー乗客対象者の要支援/要介護/身体障がい者の総数が1065万人。

実に日本国民全体の8%しかお客様対象者でないことがわかります。

 

もちろん、この8%指標は各都道府県すべての地域にあてはまるものではなくて、都心部/地方の人口、そして、その地域で活動する介護タクシー事業者数によって増減はあります。しかし、健常乗客にくらべて圧倒的に少ない対象乗客数…という参考指標として見過ごすことはできません。

 

 

誰でも乗客対象者の一般タクシーですが、

  • 車椅子に対応できない車両
  • 障がい者へ配慮すべき知識と介助スキルが足りない

事情を踏まえて、

障がい者高齢者の外出ニーズを整えるタクシーとして「限定範囲で」国から許可された経緯の介護/福祉タクシーは、全体の8%しか乗客対象になりえない指標を認識しておく必要があります。

 

まずは、この乗客対象者数の少なさを理解しつつ、介護タクシー乗客の外出が健常者に比べてさらにハードルが高く、日常的でない理由もお伝えします。

 

2)介護タクシー乗客の外出が〝日常的にならない〟理由

ただでさえタクシー運賃が高いといわれているのに、介助料金+機材レンタル料金が合わされば「気軽に利用できる交通機関」とはなりませんよね。

 

また、障がい者らが不安を抱える「段差・トイレ・階段・エレベーター・専用駐車場」のバリアフリー設備環境が外出先に不自由なく整っていないこと、

今もって心理的な差別がある、介護のプロしか提供できない介助スキルが普遍化していない などなどの事情がからんで気軽に外出したい観光したい、という気持ちにつながりにくいわけなんです。

 

また、福祉レンタカーや社会福祉協議会から無料レンタルできる車椅子車両の整備環境、自家用福祉車両の普及、ぶら下がりヘルパーによる自家用有償運送などの

介護タクシーよりも格安で利用できる移動手段の選択肢がある

ことも選ばれない理由の一つです。

 

 

これらは14年運行してきてお客様の気持ちを直接伺い、身を持って痛感している現実なんですね。

 

流し営業が認められない介護タクシー 介助しなければならない介護タクシー

見出し1で述べた、健常者からはお金を頂けない介護タクシーならではの限定性は、例えば、車いすユーザーを病院へ送り届けたあとお迎えコールがくるまでの待機時間(2~3時間)、お客様を積極的に獲得できないジレンマを抱えることになります。

 

  • 病院の出入り口で手を挙げている高齢者や
  • ライブイベント会場外から自宅へ帰りたそうな成人や
  • ショッピングモール下で買い物袋を両手に抱えている主婦

などを受け入れられないので積極的に乗客を獲得することが不可能になります。

 

別の介護タクシー予約が入っていたにしても、

20キロ先のお客様自宅から運賃¥700の短距離移動だったり

病院へ送り届けたお客様を迎えに行く途中で

今からクリニックへの送迎頼みたいんですが大丈夫ですか?

 

という新規依頼が重なればライバル同業者に対応してもらうしかないジレンマを抱えることはこのビジネスではわりと日常です。

 

お客様対象範囲の狭さに加え 流し営業を認めない→乗務回数が稼げない

お客様ごとに異なる身体介助提供時間→乗務回数を稼ぐためのスケジューリングの難しさ

これらの要因がかさなり、介助料金を頂けたとしても乗務回数そのものが一般タクシーより少なくなるので稼ぐ難しさと日々向き合っているわけなんですね。

 

それでも介護タクシーを経営しつづけるワケとは

 

一人1台から起業できる介護タクシービジネスをスタートしたあとは〝どうやったら稼げるのか〟という思考に切り替わります。

切り替えないとやっていけないんですね(笑)

 

 

  • 営業スキル
  • 広告・販売スキル
  • webサイト制作/情報発信
  • SNS活用
  • コンテンツ制作

これらのスキルはすべてお客様に選ばれるためのマーケティングスキルです。

これらを学べることに加え、

  • 経理
  • 税務申告

も自分でやらねばなりません。私も介護タクシーが始めての起業だったので慣れるまでに相当苦労しました(笑)

しかしながら、マーケティングや税務を学んでいく中で、経済とはどういう風に世の中を循環していて、雀の涙ほどに納めた税金が誰の生活を助けているのかの実感を身をもって知ることができます。

 

稼ぐ難しさを知ることは、同時に稼ぐ仕組みと流れを学べるわけなんですね。

利益率の低いビジネスモデルでもお客様に選ばれるにはどうしたらいいのか?という思考錯誤と行動を繰り返して体得していくビジネス感覚は、

たとえ廃業になったとしても他の分野で必ず活きます。

 

 

ビジネスとはなんのためにあるのか

だれを幸せにするためにこのビジネスはあるのか

 

 

会社員時代にはとうてい味わえなかったビジネスの厳しさと稼ぐ楽しさを、介護タクシー起業によってかみしめることができるのです。

 

あ、あとですね、

外出ハンデをかかえた障がい者高齢者らのお役に立てて「ありがとう」の言葉を直接頂けるからこそ、このお仕事は簡単に辞めることができないんですね、やめられないというか。

伝わってますかね、このニュアンス(笑)

 

 

介護/福祉タクシー起業を検討しているものの、一歩踏み出せない方は何時でもご相談ください。

 

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