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24時間対応介護タクシーを掲げることには覚悟と責任がともなう理由

開業への心がまえ
2020年7月リライト済の記事です

 

この仕事をはじめた14年前、どのような送迎依頼にも応えなければならないと思っていました。 なぜなら稼ぐためには運行件数を1件でも多く獲得しないといけないからです。

 

深夜帯(22:00~5:00)からの搬送依頼にも応えようとエネルギーが有り余っていました。

 

24時間救急体制を整えているX総合病院の看護師 師長にアポなしでチラシをもって営業したり(お忙しいのにその節は大変失礼しました…)、

ケアマネ・相談員にも救急車搬送あとの帰宅手段として介護タクシーをどうぞよろしくお願いします…とラミネート加工したA4チラシを手渡しながらPR。

 

 

しかしながら、

ある日をさかいに24時間対応介護タクシーを積極的にうちだすことはやめました。

 

いまでもその決断に後悔はありませんね。

 

24時間介護タクシーは救急病院から営業所まで5キロ圏内が理想

私が営業所をおく地域住民たちにとって25キロ先にあるX総合病院は、

  • 24時間体制の救急病院
  • 未来の医師を育成する拠点病院
  • 戦後 沖縄の医療復興を象徴する救命救急病院

という位置づけであり、

大きな病を抱えたり不安な所見を感じたなら紹介状を手渡されて診察を命じられる、
たいへん重要な病院です。

 

先日も大々的に報じられた誇らしい病院なんですよね。

沖縄の救急医療 搬送時間は東京の半分 「たらい回し」が起きない理由

 

片道25キロあるにも関わらず地域住民にとってなくてはならないX病院へ介護タクシー夜間搬送のPRを行うことは、

  • 搬送単価の大きい依頼が受けられること(売上アップ)
  • 処置がすんだら帰宅を促されるので車椅子ごと乗車できる介護タクシーでしか対応できない(地域貢献)

売上アップ・地域貢献の意味あいもかねるので需要はあるはずだと思っていたんです。

 

しかし、夜間依頼はほとんど来ませんでした。

まぁ、少し考えればわかることだったんですが。。。

 

病院側も家族側も〝今すぐ来てくれる介護タクシー〟を求める

急な体調変化で介護施設or自宅から救急車で搬送され、

3時間・6時間も救急治療室でまたされたあと、やっと帰れると看護師からGOサインがでたあとに介護タクシー事業者が

すいません、今からですとそちらにつくのは50分かかるんですがいかがでしょうか…

 

と言ってきたら家族側としては、

 

あ、そんなにかかるんですね。けっこうです、近い介護タクシーを探します

となるわけです。

また、看護師側としても「25キロ先営業所の介護タクシー」ということが分かっていますのでわざわざ遠い事業者よりも近い事業者を家族側に推薦するわけなんですね。

ベッドもいちはやく空けて次の救急患者を受け入れる体制を整えておきたいですし。

 

救急病院から5キロ圏内であればコールを受けて15分以内にアクセスできます。

15分待たされる

50分待たされる

 

どちらを選ぶかはいうまでもないことですよね(苦笑)

 

例外的に介護タクシー夜間依頼もある

それは、以前に介護タクシーをご利用いただいたことがあって「知らない介護タクシーよりは地域の介護タクシー(顔なじみ)に対応してもらいたい」という、

地域性に絡んだ関係性による場合。

 

そして、5キロ圏内の介護タクシー事業者に電話を掛けたけど「繋がらない/今夜は対応できない」と断られた場合です。

 

病院側としてもベッドは空けたいし家族側としても1秒でも早く帰りたい。

 

50分待たされても我慢するわけです。まぁ、選択肢がないことによる消極的理由によるものなんですけど(苦笑)

 

このような理由から夜間依頼をうける可能性はゼロではありませんが、

かといって夜間搬送体制を積極的に整えるまでもないというわけなんです。

 

商圏人口規模と救急病院からの夜間介護タクシー搬送の関連性とは

 

商圏人口とは、その地域におけるそのサービス対象者の人数(お客様)を指していて

支持人口とは、商圏人口を事業者数でわった数字で算出されます。

 

介護タクシーのお客様対象者は「要支援/要介護の高齢者・身体障がい者」なのでその人数を市町村データから導き出し、

地域の介護タクシー同業者数で割れば支持人口を割り出すことができます。

ちなみに介護タクシー事業者数は「お住いの都道府県+福祉タクシー」のキーワードを打ち込めば運輸局からデータが取れるはずです。

 

 

さきほど例に挙げたX病院から3キロ圏内に営業所をおく同業者と夜間の介護タクシー搬送について話したことがあります。

その同業者はストレッチャー設備も万全にそなえています。

夜間搬送なんて毎月1回あるかないかくらいだよ

と言っていました。

ほうほうなるほど。

 

 

少し話をズラして。

実は、私は以前、介護タクシー組合なる団体に会員として属していました。

 

毎月行われる定例会のとき議題に上がっていたのが「夜間搬送に対する組合の在り方」で、24時間救急体制を整えるZ病院側から夜間対応できる介護タクシーの名簿を提出してくれないかというもの。

調べてみるとZ病院では年間5000件もの救急車搬送があるのです。

1日あたり13.6回救急車が出入りしているわけですね。

 

このような地域の5キロ圏内、まぁ、10キロ圏内にでも営業所を置けば夜間搬送介護タクシーはビジネスとして成り立つ可能性を秘めています。

 

ただし!

さきほどのZ病院1日当たり救急車搬送件数13.6回というのは健常者も含めてのデータなので、介護タクシーお客様の要支援/要介護・障がい者が何%の割合で含まれているのか?という考察は外してはなりません。

 

このようなデータを通して夜間ニーズがありそうなのかを調べる思考方法をもつことは非常に大事なわけなんです。

 

いつ来るかわからない夜間の介護タクシー依頼に貴方は心とからだを整えられるのか

 

私が24時間365日介護タクシーをやめたのもこの見出しの通り。

 

プロの介護タクシー事業者が24時間PRを謳うからにはそれ相応の覚悟と体制を整えていなければならないからです。

 

はっきりいいまして、心が安らげないんですね(苦笑

いつくるかわからないタクシー予約のために心と身体を整えておくのはかなりの精神を消耗するわけで心がすり減れば身体も疲れが取れないわけです。

 

自分の心と身体が受けいれられると判断した場合にのみ、
夜間搬送を受け付けるようにしました。

 

この体制を決断した時から心がスッと軽くなりましたね。

 

前回経営セッションを受けられた方は数百万の新車を買い、何が何でも稼がなければならない事情も重なって24時間介護タクシーで頑張ると申されていました。

 

その方は私よりも年上のかたで正直体力的にしんどくならないかな…と不安になったものです。

 

夜間搬送ということは日中に比べ視界不良で交通状況が見えにくくなりますから、お客様の安全搬送という観点からも、日中以上の神経を使って目的地へ送り届けなければなりませんからね。

 

まとめますと、24時間介護タクシー搬送体制を整えるには

  • ビジネスが成り立つかどうか営業所を置く地域の支持人口を調べる
  • 依頼コールがかかってきたときに1秒でも早くかけつける準備を整えられるか・その覚悟はあるのか
  • 安全に搬送できる体力と自信はあるのか

これらを心がまえておく必要があります。

 

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