タクシー業とは、乗客が求める場所にピンポイントで連れていくことで、その対価(便利)としてお金を頂くビジネスです。その行為は一般乗用旅客自動車運送事業・福祉限定にあたり、その事業を興すために一番大事な資格が第2種自動車免許です。
ですが、介護タクシーで移送する乗客は、〝自力で自宅/施設から外出できない(しにくい)障がい者/高齢者〟ですから、乗務員がお手伝いをしてタクシー車内まで誘導しなければお金を頂けません。
お客様へ快適な外出を提供するには、座学や実践をとおして介助技術を身体にたたき込みながら、資格を取得して経営がスタートするのです。これから紹介する資格は、介護タクシー運営歴15年の私が独断と偏見をもって取得してほしい優先順にラインナップしています。
ただし、資格をとったから収入が上がるとかお仕事を頂けるようになれるわけではありません。そこは予めハッキリさせておきます。では行きましょう。
介護職員初任者研修(ヘルパー2級)で外出サポートの基礎を学ぶべし
ずばり言ってしまうと、介護タクシービジネスを開始したあと介護職員初任者研修の資格がなくても身体介助を提供して介助料金を請求していいですし、それ自体、法律違反でもなんでもありません。
付け加えると実費負担が基本の介護タクシーは、介護保険制度に左右されることなく介助料金の設定(値付け)も事業者独自の判断にまかされているのですから。
ただ、それでいいんですか?って話です。
まず、障碍者や高齢者とふれあう機会もなかった人が、ぶっつけ本番で移乗介助をおこなえるんでしょうか。

ああ、2年前にボランティア活動で手伝ったことあるんだよ。脇の下に両手差し込んでグイって持ち上げればいいんでしょ?
身体介助の理論と技術は、日々改善を繰り返しながら進化していることをご存知でしょうか。
ボランティアで数回関わったぐらいの実践量では自信をもって介助を提供できません。また、教えてくれたヘルパーさんのやり方は古い場合があります。

事業を経営するなら身銭を切って最新の介護論を学び、プロとしての身体介助でお客様に喜んでもらいましょう
介護タクシー乗客対象となる4パターンの障害者/2パターンの高齢者
障碍者には4種の、高齢者は2種の区分別が成されていることをご存じでしたか?
身体障碍者(車いすユーザー・視覚・聴覚)
精神障碍者
知的障碍者
発達障碍者/児
要支援(将来的に介護を求められる人・生活で不便を感じている人)
要介護(食事・排泄・入浴などの全面的介助を必要とする人)
こちらを読んでいただければ、さらに理解が深まるのでぜひ読んでください。
ここが肝!身体介助スキルの習得と理論
介護タクシー開業者がいちばん不安を抱えている部分は身体介助のやり方でしょう。介護職員として勤めた経験もなければ尚更です。
私が介護タクシーに携わった平成18年、介護職員初任者研修はヘルパー2級と呼ばれていた時代でした。その時の身体介助講習は、言い方悪いですが、「講師から教えられたことを言われたとおりにやるだけ」でした。
ただ、現在の身体介助講習は、
- なぜこの動線にそって手順通りにやらなければならないのか
- この動きをやり続けると、どんなこと(ケガ/事故)が待っているのか
生徒に考えさせ、答えを発表させ、講師と共に答え合わせや確認を取り合う能動的スタイルになっているんですね。
また以前は、講習後半の3日間は訪問介護事業所・特別養護老人ホーム・介護老人保健施設への出張実習も義務付けられていました。そこで排泄介助や食事介助の〝現場〟を知りましたが、そのやり方も刷新されて施設実習についても受講者希望のみ…という選択制に変わっています。
いずれ介護ロボットやスーツの扱い方を習うことになるでしょうね。時代の流れと共に介護の在り方も変わるのです。
移動支援事業で稼ぐなら、ヘルパー資格は絶対必要
映画鑑賞・カラオケ参加・祭り/イベント参加・選挙投票・金融機関/役所手続きなどの目的で利用できる、障碍者の社会参加を助ける移動支援事業という外出支援サービスがあります。
国や県や自治体が合わせて身体介助報酬の9割を支えてくれて、障碍者本人は1割負担ですみますが、タクシー運賃は実費負担になります。あらかじめ介護タクシー事業者は自治体と移動支援事業の契約を結んで登録を済ませなければなりません。
開業後は、お住いの自治体・保健福祉課へ営業して契約内容をしっかり確認しましょう。
この事業の契約条項の中に、身体介助報酬を算定する場合の条件があります。
●それ以外のものが提供するなら70%算定で請求すること
※わかりやすく理解してもらうために表現を変えています
※算定割合や解釈は自治体によって変わる場合があります
介助に要した時間と内容が全く同じでも、介護職員初任者の資格所有者のほうが正当に評価を受ける(稼ぐ)ということです。
併せて申し込みたい 障碍者ガイドヘルパー資格
全身性障がい者ガイドヘルパー養成講座で車いすユーザーの心理を学ぶ
全身性障害者とは、簡単に言えば車いすユーザーです。この講座では市街地で車椅子介助の基本とちょっとした応用技術を学ぶことが出来ます。
この講習を受講することで、段差・縁石・グレーチング・階段・傾斜・凸凹路面などのバリアが外出先にあふれていることを〝初めて〟知るのですね。

車椅子ユーザー視点ってこういう風に見えているんだな

車椅子をガイドする時には2m先前方もしっかり見る必要があるんだな

下り坂って正面からだと怖いな…滑り落ちそう…
実践講習を終えたら良かった点/悪かった点/気づいた点を振り返り、受講者同士で意見を共有しあうわけです。このシェア空間が講座の醍醐味といえます。
インターネットだけではけっして学べないんですよ、現場の空気や肌感覚って。
視覚障碍者向けガイドヘルパー(同行援護従業者)もセットで取るべし
突然ですが、街灯もネオンの灯りも店舗から漏れでる照明の光もまったくない、真っ暗闇の中を一人で歩いたことがありますか?それこそが全盲視覚障碍者の日常であり、その追体験を受講者と一緒に学べるのが同行援護従業者という資格です。
個人的には「視覚障碍者ガイドヘルパー」のほうが伝わりやすいと思っているのですが(笑)
目隠しをされた状態で施設から一歩外へ出ると、実に様々なバリアがあちこちに散らばっています。

見えないということはこんなにも恐ろしいのか…
見えない人の気持ちがわからない人に、介助されることがこんなに不安だとは。。。
この視覚障碍者の日常を追体験できるだけでもお金を払う価値があります。
この追体験をしたからこそ介護タクシー事業者は、視覚障碍者の気持ちに寄り添え、相手の立場にそった身体介助を提供できるわけです。
国家資格:介護福祉士を持っていれば介護タクシー収入は上がる?
上がりません、はい。

あなたは介護福祉士だから、介助料金2倍でもいいよ~
そんなわけがありません。
国家資格=信用できそう=仕事ができる✖(んなわけない)
この公式は介護業界にかかわらず、ですよね。
介護タクシー以外にも訪問介護やグループホーム・サ高住などの事業を同時運営している会社に勤めているのなら、給料アップの可能性はあります。
ですが、個人事業主の介護タクシー事業者が介護福祉士の国家資格所有者だからといって、乗客から信用と信頼を生むわけではありません。
◆いただいたお仕事を精いっぱい全うしたか
◆利用者が悩んでいる不便を便利や快適空間に導けたか
これこそが重要なのです。国家資格そのものは何の役にもたちません。それよりも、たんの吸引や経管栄養ケアの基本を学べる実務者研修が個人的におすすめです。
患者の命を左右する医療ケアにどれだけの神経と配慮を要さなければならないかを知る ことは、介護タクシー事業者にとって顔をはたかれる思いでしょう。
まとめ
資格取得にむけて奔走する中で、障がい者への理解や快適な介助スキルを提供できる素地が固まってくるのです。この体験は大きいものです。
じゃあ、どこでその資格を取得したらいいか?なんですが、
私が資格取得した三幸福祉カレッジなら如何でしょうか。
資格取得にあたって無料説明会を全国各地で定期的に行っていて、求職者割引についても丁寧に教えてくれます。※最大30%割引!
また、介護職員初任者研修とあわせて全身性障がい&視覚障がい(同行援護従業者)のガイドヘルパーをセットで受けると割引適用があるんですね。
介護タクシー開業前は時間のゆとりもあるでしょうし、お仕事につとめながら資格取得したい人向けのから、まとめて取得されることをすすめますよ。
あ、この記事を読んでいる段階でまだ第2種自動車免許を取得していない方は、こちらのサイトを参考にしてください。
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